角膜について
角膜とは、黒目の部分を指します。
実際には、角膜=黒目ではなく、黒目を覆っている透明の膜のことを言います。
私たちは、ものを見るとき、見たものは角膜を最初に通過し網膜に投影されます。
そのため、角膜の疾患が起きると視力低下などの異常が起きます。
コンタクトレンズによる角膜障害
コンタクトレンズを装用したことがきっかけで、角膜が障害を起こした状態です。
コンタクトレンズによる
角膜障害の原因
- 長時間の装用や不適切な装用によって、角膜が酸欠状態になる
- コンタクトレンズ自体が角膜を傷つけてしまう
- コンタクトレンズに付着した微生物などが角膜に感染を起こす
- 長期間酸欠状態が続くことで、結膜から血管が進入して角膜内皮細胞が減少する
コンタクトレンズによる
角膜障害の治療法
まずは、直ちにコンタクトレンズの装用を中止することです。
その後、軽度な角膜障害の場合は、点眼治療などで改善していきます。
再発を繰り返したり、角膜に細菌やカビなどの微生物が繁殖したりすると、治った後も視力障害が残ることもあります。これらの障害はいずれも、不適切なコンタクトレンズの装用や長時間・長期の装用、不適切なコンタクトレンズのケアなどが原因とされます。
コンタクトレンズは適切に使用し、また、定期的な受診を行うようにしましょう。
薬剤による角膜障害
薬剤によって角膜に障害が出る状態です。
薬剤による角膜障害の原因
点眼液に含まれる防腐剤などの添加物によって角膜が傷害を起こします。
緑内障の治療などで多くの点眼薬を併用していると、発症リスクが高まります。また、重度のドライアイや糖尿病などで悪化しやすくなる傾向があります。
安易な点眼薬の乱用は避け、眼科医の指示に従って適切に点眼することが大切です。
点状表層角膜症
角膜は、表面から順に上皮・実質・内皮という構成になっています。
点状表層角膜症は、この上皮に小さな点状の傷が付いている状態を言います。
点状表層角膜症の原因
- ドライアイ
- コンタクトレンズによる角膜障害
- 感染や免疫反応
- 外傷や異物、強い紫外線の障害(電気性眼炎:ゆきめ)
点状表層角膜症の治療法
それぞれの原因に合わせて、最適な治療が行われます。
ドライアイが原因の場合は人工涙液やヒアルロン酸などの点眼、コンタクトレンズが原因の場合はレンズ装用の中止や点眼治療、薬剤が原因の場合はその薬剤の使用の中止などになります。
その他では、抗生剤の点眼や眼軟膏、ステロイド点眼が用いられる事もあります。
角膜びらん
角膜は表面から順に上皮・実質・内皮で構成されています。角膜びらんとは、角膜の表面にある上皮の一部が剥がれてしまっている状態です。
点状表層角膜症がさらに進行した状態とも考えられているため、原因や症状は共通しますが、角膜びらんの方がより症状が深刻になります。
角膜びらんの原因
高血圧、糖尿病、動脈硬化などの全身の血管障害によって引き起こされると考えられています。
角膜びらんの症状
- 急激な視力低下
- 視野の中心部が見にくくなる中心暗点
角膜びらんの治療法
治療には、角膜上皮を修復する点眼や、感染予防のための抗生剤点眼の投与を行います。
角膜びらんは痛みの程度が強いので、上皮が修復されるまでの間は抗生剤の眼軟膏を角膜や結膜とまぶたとの間に注入します。治療中は眼帯をすることが多いです。
また、角膜びらんが同じ場所で再発を繰り返す再発性角膜上皮びらんの場合は、保護用のコンタクトレンズや眼軟膏を予防的に使用することがあります。
水疱性角膜症
水疱性角膜症とは、角膜に多量の水がたまり、角膜がむくんだ状態になる疾患です。
角膜の内皮細胞は、角膜と眼内との水分の行き来を調節して角膜を透明に保っています。
この内皮細胞が減少してしまうことで機能が失われ、角膜に水が溜まってむくみを起こします。
なお、失った内皮細胞は再生しません。
水疱性角膜症の原因
- 白内障手術や虹彩へのレーザー手術などの内眼手術
- 外傷
- 遺伝性の角膜の病気
- 角膜内皮の炎症
など
内眼手術が原因の水疱性角膜症はあまり多くは見られない事例ですが、もともと角膜内皮の細胞数が減っている方が手術を行うと、発症リスクは高まります。
また、角膜内皮細胞は、コンタクトレンズの長期・長時間装用が原因で数が減少することも報告されています。
水疱性角膜症の症状
角膜が濁って視力が低下します。また、上皮が剥がれることで、目に痛みを感じます。
水疱性角膜症のの治療法
目の痛みに対しては、点眼や眼軟膏、治療用コンタクトレンズの使用を行います。また、角膜の透明性を回復させるためには、角膜移植が検討されることもあります。
感染性角膜炎
感染性角膜炎とは、目の表面で微生物が繁殖して角膜が損傷を受ける疾患です。
感染性角膜炎の症状
- 充血
- 目がゴロゴロするなどの異物感
- 目が痛む
- 視力が低下する
- ぼやけて見える
- 光がまぶしく感じる
- 目やにが出る
など
症状や程度は原因となる微生物の種類によって様々ですが。
放置すると微生物が繁殖して角膜の損傷も悪化し、中には失明するなど重症化する場合があります。
感染性角膜炎の治療法
対象となる微生物に応じて、各種の抗生物質や抗真菌剤、抗ウイルス剤を点眼・内服・点滴にて投与します。
重症化したり角膜が濁ってしまった場合には、角膜移植が検討される場合があります。
角膜混濁
角膜混濁とは、透明である角膜が白く濁っている状態です。
傷、角膜の感染症、水疱性角膜症、緑内障、目の手術など様々な原因が考えられます。
その他では、生まれつき先天性の目の病気が原因であることもあります。
角膜混濁の症状
- 角膜が白く濁る
- 視界全体が暗く、ぼんやり歪む
角膜混濁の治療法
点眼治療や、症状によっては除去手術あるいは角膜の移植手術を行います。
手術が必要の場合は、当院で診察を行った後、連携する医療機関を紹介いたします。