眼瞼疾患(まぶたの病気)
眼瞼とはまぶたのことですので、眼瞼疾患とはまぶたの病気のことです。代表的なものに、ものもらい(麦粒腫)、眼瞼下垂、逆さまつ毛(眼瞼内反)などがあります。
麦粒腫(ものもらい)
ものもらい(麦粒腫)は、皮膚や粘膜に常在している黄色ブドウ球菌などが、マイボーム腺というまぶたの縁にある部位や、まつ毛の根元に感染して炎症を起こすことで発症します。
主な特徴は、まぶたが赤く腫れ上がったり、かゆみや痛みなどになります。睡眠不足や風邪などで体力が低下し、免疫力が落ちている時に感染しやすく、中には化膿して強い痛みや腫れを起こすこともあります。
治療は、症状や状態に合わせて抗生物質の点眼薬や軟膏、内服薬などで行います。化膿を起こしている場合には、手術により切開して排膿させることもあります。
適切な治療を行えば数日で改善に向かいますが、自己判断で途中で治療を中止してしまうと、かえって悪化して治療が困難になることもありますので、注意しましょう。
霰粒腫(さんりゅうしゅ)
霰粒腫とは、まぶたの縁にあるマイボーム腺という脂を分泌する腺が詰まることで、脂の固まりができて周囲に炎症を起こした状態です。
早い段階で受診すれば、点眼や軟膏による治療や、若干痛みを伴いますが針を刺して脂を排出することで改善します。ただし、大きくなった状態だと、薬ではなかなか治らなくなり、完治まで半年〜1年かかることがあります。また、直ちに目立たなくしたい場合は、切開手術が必要になります
再発予防には、目の周りを洗浄して清潔に保つことが第一です。
今は目にしみない目の周り用のシャンプーも販売されています。
また、目の周りを温めることで、脂が固まるのを防ぐこともできます。霰粒腫ができやすい方は、お風呂で目に蒸しタオルをするなども、効果的な予防法です。
マイボーム腺機能異常
マイボーム腺とは、上下まぶたに60本ほど存在する皮脂腺のことで、ここから分泌された脂が瞬きによって目の表面に広がり、涙の蒸発を防いでいます。
このマイボーム腺が詰まると、しこりになって腫れたり、菌が繁殖して痛みや赤みを生じるようになります。これがマイボーム腺機能異常です。
主な治療は、目薬や軟膏で行います。ただし、しこりが巨大化した場合は、切開して脂を排出することもあります。
予防法としては、脂が固まらないようにまぶたを温めたり、ベビーシャンプーで目の周りを洗浄することなどになります。
眼瞼下垂
瞳の中心から上まぶたの縁までの距離が、3.5ミリ以下の場合、眼瞼下垂症の可能性があるとされています。
治療は手術という方法があります。「眼瞼挙筋短縮」などの術式があります。
瞼の皮膚、筋肉を切開し、ゆるんだ眼瞼挙筋を糸で縫い付けます。まぶたの皮膚が余っている場合は、皮膚の切除も行います。 人によっては、眼瞼下垂が原因で肩こりや頭痛を生じる人もいます。
視界を広げようと、おでこの筋肉を使ったり、あごをあげるために首や肩の筋肉が緊張するのが原因と言われています。テープなどでまぶたをあげてみて、頭痛が楽になるようでしたら、眼瞼下垂の可能性があります。
眼瞼下垂を予防するために、長時間のコンタクトレンズの使用を控え、目をこすらないことをお勧めします。しかし、加齢によるものでもありますので、完全に発症を予防することはできません。
なお、手術の際には、当院と連携している連携病院をご紹介します。
連携病院
眼瞼痙攣
眼瞼痙攣とは、まぶたを閉じる眼輪筋が過敏になることで生じる疾患で、瞬きが増える、軽度の痙攣を起こす、目が開けにくいといった症状を起こします。
進行して症状が悪化すると、自然にまぶたが閉じてしまい、目を開けられなくなって事実上の失明状態に陥ります。
症状は両目に起こることが一般的ですが、左右差がある場合もあります。
片目のまぶただけ痙攣する場合は、眼瞼ミオキミアや片側顔面痙攣の可能性があります。
主な治療法は、ボツリヌス注射で過剰な神経伝達を抑制します。ボツリヌス注射は3ヶ月程度効果が持続するため、効果が切れたタイミングで再度注射を行います。
当院でも、外来で治療を受けることができます。
眼瞼内反(逆さまつ毛)
眼瞼内反(逆さまつ毛)とは、まぶたの形状の異常などによりまつ毛が眼球側に向かって生え、眼球に触れてしまう状態です。痛みや充血などの症状のほか、角膜などを損傷して視力障害を起こす恐れもあります。
乳幼児はまぶたの形状に問題がなくても、皮膚や脂肪などによって下まつ毛が眼瞼内反を起こすことがあります。
まつ毛を抜けば一時的に症状を改善しますが、再びまつ毛が生えたら症状が再発するため、根本的な改善には手術が必要になります。
乳幼児の眼瞼内反は成長につれて自然治癒することが多いですが、7歳を超えても改善しない場合に手術を検討します。 なお、手術の際には、当院と連携している連携病院をご紹介します。