結膜
結膜は、白目を覆っている透明な膜と、まぶたの裏側のピンク色の膜で構成されます。
血流が盛んになると炎症を起こして赤く充血するため、変化に気付きやすい部分です。
結膜炎
急性結膜炎は、細菌、ウイルス、カビなどの微生物、ほこり、ごみ、摩擦などの物理刺激、酸、アルカリなどの科学的刺激などで起こります。
アデノウイルスによる結膜炎では、学校保健安全法で学校感染症に指定されているため、感染のおそれがなくなるまで一定期間、登園登校しないでください。
成人の方も、他の人への感染を防ぐために休業、自宅待機することが大事です。
写真は、クラミジア感染(喉に感染したクラミジアや、性器クラミジアから手などによって感染)による結膜炎です。
抗生剤によるしっかりした治療が必要です。
子どもの結膜炎は注意が必要?
目が真っ赤に充血して、目やにが多く出る状態は、結膜炎の可能性が高いです。
ウイルス性の結膜炎に感染すると、目やにがおさまる頃に角膜が混濁して目がぼやけるようになります。
混濁がおさまるまでは、点眼で治療します。
角膜の混濁は、大人の場合なら自覚症状で気づきやすいですが、子どもの場合は片目がぼやけても訴えないことがあります。
視力が発達過程である8歳以下の子どもの場合、結膜炎の後遺症によって残った片目の薄い角膜混濁が視覚を遮蔽してしまい、弱視の原因となることがあります。この角膜混濁は、肉眼で発見するのは難しいです。
小さな子どもが結膜炎を発症した際は、しばらくの間は治療を継続しましょう。
感染性結膜炎
ウイルスの感染には、飛沫感染と接触感染があります。
感染者の咳やクシャミによる飛沫を直接吸い込むことにより、鼻や喉の呼吸器粘膜に感染を起こすのが飛沫感染です。
一方、ウイルスを含んだ飛沫で汚染されたものに直接触れることで、病原体が体内に侵入して感染を起こすのが接触感染です。
目は飛沫感染、接触感染の両方を起こす可能性がある部位です。
鼻や喉と同様に目も結膜などの粘膜で覆われているので、飛沫感染を起こす可能性があります。
医療従事者が診療の際にゴーグルをするのは、この飛沫感染を防ぐためです。
また、汚れた手で目を擦ったりすると、接触感染を起こす可能性もあります。
こまめに手を洗い、極力目には触らないようにすることで、接触感染は防げます。
細菌性結膜炎
細菌性結膜炎の主な原因になる細菌は、黄色ブドウ球菌やインフルエンザ菌です。インフルエンザ菌はインフルエンザウイルスとは異なります。
どちらも感染力が弱い細菌ですが、免疫力が低下した状態だと感染しやすくなります。
子どもは大人に比べて免疫力がまだ弱く感染しやすいため、細菌性結膜炎を起こしやすい傾向があります。
結膜の異常に気付いたら、早めに受診するようにしましょう。
細菌性結膜炎の治療
細菌性結膜炎の治療には、点眼薬や軟膏、内服薬など、抗生物質が有効になります。
どの方法で治療するかは、感染した細菌によって変わります。
適切な治療を続ければ1~2週間で完治しますので、治るまではしっかり治療を続けましょう。
流行性角結膜炎(はやり目)
流行性角結膜炎は、主にアデノウイルスによって発症します。
アデノウイルスは感染力が強いため、感染を拡大させないよう注意が必要です。
一般的に、はやり目やプール熱と呼ばれるものもアデノウイルスによる結膜炎になります。
また、子どもの風邪もアデノウイルスによって生じることがあります。
流行性角結膜炎(はやり目)の治療
現在、アデノウイルスには有効な治療薬がないため、治療は主に非ステロイド性抗炎症点眼薬やステロイド点眼薬を用いた対症療法を行います。
また、細菌感染の合併を防ぐ目的で、抗生物質を投与して予防することもあります。
ウイルス性結膜炎は、安静状態を継続することで、2週間〜1ヶ月程度で完治します。
なお、はやり目は、学校保健法で第三種に指定されているため、発症したら完治するまでは出席禁止となり、完治を確認した医師が登校許可証明書(登園許可証明書)に記入することで、登校・登園が可能になります。
結膜下出血
結膜下出血とは、結膜下の血管が破れて出血し、白目の部分が真っ赤に染まる疾患です。アルコールの過剰摂取や月経、目やその周囲の圧迫や刺激によって発症します。
また、くしゃみをしたり、強く鼻をかんだ拍子に生じることもあります。 あきらかな理由がなく発症することもあります。
見た目は派手ですが、痛みはほとんどなく、目がゴロゴロする程度です。
2週間程度で自然に解消することが多いですが、中には数ヶ月かかることもあります。
ただし、外傷や目の周囲の強い衝撃が原因で結膜下出血を起こした場合には、速やかに受診しましょう。
結膜下出血を繰り返す場合や、痛みやかゆみを生じている場合も、受診してください。
翼状片
翼状片とは、白目を覆う結膜が目頭から黒目に向かって三角形に伸びていく疾患です。
見た目で変化を認識でき、充血や異物感などの自覚症状も生じます。
高齢者に多く見られ、発症の原因には紫外線が関与していると考えられていますが、はっきりとした原因はわかっていません。
放置しても特に問題はありませんが、充血や違和感が気になる場合には、点眼薬などによる治療で改善することができます。
また、視機能に悪影響が出ている場合には、手術が必要になります。
手術の際には、連携している医療機関をご紹介します。
巨大乳頭結膜炎
コンタクトレンズの刺激などによって、上まぶたの結膜に乳頭が増殖します。
大きいとコンタクトレンズが上に頻繁にずれたりするようになります。
コンタクトレンズが原因と考えられる場合は、こすり洗いなどのレンズケアの徹底、抗アレルギー点眼薬処方、1日交換コンタクトレンズへの変更などを行います。
症状が強い場合は、コンタクトレンズを中止してください。
コンタクトレンズがずれるようになった、目やにが出るようになった場合は、巨大乳頭結膜炎を疑って早めにご受診ください。